こんにちは。葛西駅前たなか眼科院長の田中宏樹です。
第4回のブログは「硝子体注射」についてお話します。
目の奥にある網膜の病気の治療法として今注目されているのが「硝子体(しょうしたい)注射」です。
視界の中心がゆがむ、ぼやけるなどの症状に対して行う治療で、早期に実施すれば視力の維持や改善が期待できます。
目に入った光は、水晶体などで屈折し、網膜に達した後、脳で認識されます。
網膜の中心である黄斑に出血やむくみがたまると、視界の中心がゆがむ、ぼやけるなどの症状がでます。
硝子体注射とは、眼球内の「硝子体」というゼリー状の空間に、専用の薬剤を注入する治療法で、網膜の異常に関係する物質の働きを抑え、出血やむくみを改善して視力の低下やゆがみを防ぐために行います。
点眼麻酔を受けた後、白目の部分から極細の針で薬を注射をします。
針は非常に細く、処置自体も数秒で終わるため痛みの心配は少ないです。
加齢黄斑変性·網膜静脈閉塞症に効果
硝子体注射が特に有効とされる代表的な疾患は、「加齢黄斑変性」と「網膜静脈閉塞症」です。
いずれも保険適用であり、治療しなければ進行する病気で、高血圧、高脂血症、喫煙などが主な原因と言われています。加齢に加えて生活習慣病との関連も深いです。
「加齢黄斑変性」は、網膜の中心にある黄斑に異常な新生血管ができることで起こる病気です。
新生血管から血液や水分が漏れ出し、視細胞が損傷します。一度発症すると視力を完全に取り戻すことは難しいとされていますが、その進行を抑制するために硝子体注射が有効となります。
「網膜静脈閉塞症」は、網膜の血管が詰まり、出血やむくみが生じます。
年齢層や症状の程度によって経過が大きく異なります。
いずれの場合も、早期の診断と適切な対応が視機能の維持に直結します。
「アムスラーチャート」で早期発見を
これらの病気の初期症状は非常に気づきにくく、「なんとなく見えにくい」「片方の目だけおかしい」と感じても、つい放置してしまいがち。「年のせい」と受診しないケースは多く、重症化してしまうこともあります。
異常に早く気づくためには、下の「アムスラーチャート」を活用し、ゆがみがないか、見えないところはないかのセルフチェックが有効です。
少しでも異変があれば迷わず眼科を受診してください。
将来の「見える」を守るために早期発見·早期治療が何より重要です。

①チャートを目から 30cmはなす
②メガネ·コンタクトをしたまま片目ずつ、表中央の黒い点を見る
③ゆがみや見えないところがないか調べる
その他気になる症状や検査のご希望などがあれば、当院へお気軽にご相談ください。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
